【ハロウィン】Halloween
普段の日でもプロンテラの中央通りはものすごい数の露店と人でごった返しているので騒がしいのは当然だが、 窓から外を眺めると、街路樹にオレンジのキラキラ光るテープがくるりと巻かれていて、所々に目鼻のあるかぼちゃを模した飾りがつり下げられていた。 そして、口々にこの日特有のあいさつをする。 「Trick or Treat!」 …そう、今日はハロウィンだ。 街全体が浮足立った様な、祭り独特のこの雰囲気は嫌いじゃない。 窓辺から離れ椅子に戻ると、テーブルにあるコーヒーを一口飲んだ。 ジャックランタンはもちろん、ハロウィンすら知らなかったコロに、ハロウィンについて聞かれた。 「とるぃーーーーっく!えーーーんど!とっるぃーーーーーとぉおおおお!」 突然入口のドアがどかーんと開き、ジルタスが部屋に入ってくると持っていた鞭で床をしばいてぴしゃーーーんとイイ音を立てた。 びっくりしたコロが慌ててこちらへ来て俺にしがみつく。 入り口に立っていたのは、ジルタス―――――の、コスプレをしたヒルドだった…。 「………andじゃない、orだ」 しがみついていたコロが、その反論がヒルドの声だと気づいて顔をあげた。 「わーヒルドだーv」 「おーコローv久し振りねーv元気だったー?」 「………そのカッコでここまで来たのか…?」 「あったりまえじゃない♪今日はハロウィンよー!」 そうだった。 「思った通りだわ…。あんたのことだから、コロちゃんに正しいハロウィンの楽しみ方を教えてないだろうと思ったのよねー」 ふう、とワザとらしく両手を肩の高さで広げ首を左右に振りながらため息。 「ハロウィンは間に合ってる」 そう言って、俺の言葉を華麗にスルーしたヒルドが持っていた荷物から服を取り出しばさっとこちらへ投げつけてきた。 「………」 広げてみると… ………、 「こんなもん着れるかーーっ」 俺はインキュバスの衣装を床に叩きつけた。 「まぁ、あんたにはハードル高いわよね。じゃあ、こっちならいけるでしょ」 そういってもう一着投げてよこす。 「もしかして、イビルドルイドの衣装か?」 「あったりー♪それならいけるでしょ」 ………まぁ確かに、インキュバスに比べれば………と、そこまで考えてはっと我に返る。 「ち、違う違うっ、着れるか着れないかじゃないっ。仮装自体する気がないんだっ」 俺は慌てて、イビルドルイドの衣装を椅子に置いた。 「コロちゃんはどうー?お祭り楽しいわよー♪遊びに行きたいよねー?」 わかっているのかいないのか、ちゃんと考えたのかもすら怪しい間で即答するコロ。 「ほら、コロちゃんが行きたいって言ってるんだから、保護者のあんたが行かなきゃ始まらないわよ」 コロが、俺を見上げて聞いてきた。 「ヒルドがいるから心配ないだろう。二人で……」 コロが、きっぱりとそう言った。 「ディーが行かないなら…僕も行かない…」 あからさまに残念そうな顔をするコロ。 「………わかった。……わかったよ…」 折角の祭りなのに、暗い気分にしてしまうのは忍びない。 「そうと決まれば、コロちゃんはこれに着替えてねーv」 ヒルドがコロに何か服を手渡した。 「………ヘンタイかお前は」 キャットナインテイルの衣装をヒルドに突き返す。 「せっかくディーが喜ぶと思ってー」
プロンテラの中央通りを目指して道を歩きながら、ヒルドが言った。 「ヒルドもかっこいい♪」 俺とヒルドの間で、それぞれと手をつないでいるコロが俺を見上げて言う。 「…そりゃどうも」 俺は生返事をしながら、周りを見ていた。 仮装している人は思ったより多く、俺達は思ったより目立たない…というか、これくらいの仮装している方が今はむしろ自然な感じだった。 「Trick or Treat!」 大通りに差し掛かったところで、ウィスパーの様な布を被った複数の子供が、俺にそう言ってきた。 二人のやり取りを、コロが不思議そうに見ていた。 「ハロウィンのお祭りではな、“トリックオアトリート”って言うと、お菓子を貰えるんだ」 もう一度ゆっくり言って、コロに教えてやる。 「例えば…」 俺は大通りの人ゴミを見回し、かぼちゃ頭を被ったジャックランタンの着ぐるみを見つけた。 「…ほら、あそこにかぼちゃ頭の奴がいるだろ。あれにトリック・オア・トリートって言ってみろ」 コロがててて、と、かぼちゃ頭に近づき、 「と、トリットアトリート!」 ……間違ってるし。 だが、かぼちゃ頭は何とか理解してくれたようで、持っていた籠からチョコレートを取り出してコロに渡し、彼の頭をぽふぽふと撫でた。 「ありがとう!」 コロが走って戻ってきた。 「これ!くれたの!」 コロが苺ほどの大きさの銀紙に包まれたチョコレートを俺に翳す。 「よかったわねコロvどう?ハロウィン楽しいでしょ♪」 ヒルドの問いにキラキラした目で頷いて答えるコロ。 それから俺たちは、しばらく賑わう街を歩き、みて回り、プロンテラに満ちたお祭り騒ぎに興じた。
「ふう…」 服も着替えず、ベッドにとりあえず腰を掛ける。 「面白かったねー」 テーブルに、紙袋を置きながらコロが言う。 「ねぇ、ディー」 呼ばれて返事をすると、 「トリックオアトリート!」 そう言って、コロが飛びかかってきた。 「!」 コロを受け止めるが遠慮のないその勢いでベッドにぶっ倒れる。 「お、お前なぁ…」 コロが、俺の顔を覗き込んでもう一度言った。 「……お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞ、か?」 そういってコロが指さした先には、テーブルにあるお菓子の詰まった紙袋。 「………、」 それは、イタズラじゃなくてバツゲームじゃないのか…? そう思いながら俺は、上着のポケットをごそごそと探った。 「コロのイタズラが怖いから、買っといた」 コロが驚いた表情で俺を見る。 「どうした?」 思わず苦笑してしまう。 「まぁいいから。開けてみろ」 俺が促すと、コロはこくりと頷いて、箱を受け取り不器用に一生懸命梱包を解いていく。 「お菓子!と、カップ!」 中身を取り出したコロが瞳を輝かせた。 それは、小さめのマグカップに売っていたハロウィン限定のキャンディが詰まっているものだった。 「今あるマグカップじゃでかすぎて、お前いつも飲みきれないみたいだからな。 言い終えないうちに、コロが抱きついてきた。 「こ、コロ…」 そういって、お得意の頬ずりをしてくる。 「わ、わかったから、放せって…」 いつもならもっと強く抵抗するのだが、今日は外出してたこともあって少し疲れていた。 そしてそのままつい、俺もコロも、眠ってしまった。 ――――――――――――――――――――
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MagiNight 野分シムロたんに戴きました2009ハロウィンSSですvv お持ち帰り自由!との事でしたので遠慮なく(`・ω・´)++ 個人的にディーのインキュ姿が見たかったよ!!って言ったら笑われましたww 二人がかわゆくて仕方ない…ええ、コロだけでなくディーも可愛いんだ!(ちょwww もうもう、存分に癒していただきましたvvv シムロたん有難う!ご馳走様でしたvvv …ところで次回の配布マダァ?(*'ω'*)← |